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50代の離婚では財産分与が重要ってホント?

50代の離婚では財産分与が重要ってホント?

近年、子育ての終了や定年を控えた50代の離婚、いわゆる熟年離婚が増加傾向にあります。夫婦の同居期間が20年以上に及ぶ熟年離婚は、2022年には全離婚件数の約23.5%を占め、過去最高となりました。

長年連れ添った夫婦が離婚を決断する背景には様々な理由がありますが、共通して大きな不安となるのが離婚後の生活設計、とりわけ老後資金の問題です。50代ともなれば、住宅ローンや子供の教育費も一段落し、これからは老後に向けて貯蓄を充てようと考える時期です。

「財産分与」は、50代で離婚を考える上で避けて通れない重要事項です。本稿では、財産分与の基本と法律的な位置づけ、50代離婚特有の注意点、対象となる財産の種類、そして財産分与の取り決めを確実にする方法について、専門的な視点から詳しく解説します。

この記事を書いた人
行政書士 大倉雄偉

【自己紹介】
事務所名称:大倉行政書士事務所
公式サイト:https://okura-lawjimusho.com
所在地:大阪市鶴見区鶴見3丁目5番19号‐702号室
保有資格:行政書士、宅地建物取引士

【専門サービス・強み】
経験:当事務所は民事法務を専門としておりますので、これまでに多数の離婚協議書や公正証書のサポートさせていただきました。
評価:ネットの総口コミ数は現在150件を超えており4.9/5と高い評価をいただいていることも当事務所の強みです。

財産分与とは?

財産分与とは?

まず、財産分与とは何か、その基本的な定義と法律上の位置づけを確認しましょう。

特に長年連れ添った夫婦が離婚する50代では、財産分与は婚姻期間の清算として重要な意味を持ちます。

その前提として、本トピックでは財産分与の法的枠組み、3つの分類(清算的・扶養的・慰謝料的財産分与)、そして離婚協議において財産分与がなぜ重要視されるのかについて解説します。

財産分与の定義と法的根拠

財産分与とは、離婚に際して夫婦の財産を分配することであり、民法768条に基づく法的な権利です。一方の配偶者は離婚後、他方に対して財産の分与(取り分)を請求できます。

協議離婚の場合、夫婦間で合意して決めるのが基本ですが、合意できない場合には家庭裁判所での調停や審判により決定されます。現行の法律では、財産分与請求権は離婚後2年で消滅します。(2024年5月の民法改正により、財産分与の請求期限が5年となりました。)

財産分与は離婚の原因(有責性)に関係なく請求できる制度であり、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産の清算と、公平な分配を図ることを目的としています。

財産分与の3つの種類

実務上、財産分与には大きく次の3つの機能があると整理されています。

清算的財産分与(退職金・保険解約返戻金など)

清算的財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して形成した共有財産を文字通り「清算」して分けるものです。50代の熟年離婚では、特に退職金や生命保険の解約返戻金といった項目が重要になります。退職金は給与の後払い的性質を持つため、婚姻期間中に相当する部分については離婚時の財産分与に含めるのが一般的です。

まだ退職金を受け取っていない場合でも、受給が見込まれるのであれば財産分与の対象となります。同様に、貯蓄型の生命保険に付随する解約返戻金も、婚姻中に支払った保険料に応じた部分は共有財産とみなされ、財産分与の対象になります。

離婚時にはこうした資産価値を算出し、夫婦で折半するのが基本です。もっとも、退職金については婚姻期間の長短や受給時期により按分方法が調整される場合もあります。また、保険についても、婚姻前から加入していた期間や別居後に払い込んだ期間の部分は分与の対象外となる点に注意が必要です。

扶養的財産分与(生活扶助のための分与)

扶養的財産分与とは、離婚によって著しく生活が困難になる配偶者に対し、離婚後の一定期間の生活を扶養(補助)する趣旨で与える財産分与です。例えば、離婚によって収入源を失う高齢の配偶者や重い病気で働けない配偶者がいる場合に、その者の生活を支えるために、本来の清算的財産分与に加えて一定の金銭を渡すようなケースが考えられます。しかし、日本の離婚実務において扶養的財産分与が認められるのは極めて稀です。

多くの場合、財産分与は先述の清算的財産分与(財産の折半)をもって完結し、経済的に弱い配偶者の扶養の問題は、公的制度(生活保護や年金等)や当事者の再就職によって対処されます。それでも無職・低収入の配偶者として不安が大きい場合には、交渉の中で相手に一定の金銭援助を求めること自体は一つの選択肢です。たとえ恒久的な扶養までは合意できなくとも、離婚後の半年~3年分程度の生活費相当額を財産分与の一環として受け取る取り決めをする例もあります。

実際、扶養的財産分与の期間は一般的に半年から長くても3年程度で、例えば「月額5万円を6ヶ月間」と定めて合意し、その総額30万円を財産分与に上乗せするといった取り決めが行われるケースがあります。

慰謝料的財産分与(精神的損害に対する補填)

慰謝料的財産分与とは、離婚原因となった不貞行為や暴力、長年のモラルハラスメントなど、相手方の有責行為によって被った精神的損害に対し、その補償の意味を込めて行う財産分与です。

いわゆる民法上の「慰謝料請求」とは異なり、財産分与の一環として扱われるのが特徴です。通常、慰謝料請求は損害賠償として「別個の請求」として行われるのに対し、慰謝料的財産分与は、協議や調停・審判の中で「財産分与に含めて調整される」かたちで処理されることがあります。

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50代の離婚ではなぜ財産分与が重要なのか

50代の離婚ではなぜ財産分与が重要なのか

50代で離婚に踏み切る際には、若い世代の離婚とは異なる経済的な課題が浮上します。

若年層の離婚に比べ、残りの就労期間が短い50代では、一度の財産分与で老後の生活資金を確保できるかが重要な意味を持ちます。

本トピックでは、老後資金や退職金・年金分割といった50代特有の事情、専業主婦・パート主婦として長年家庭を支えてきた場合のリスクと対策、そして財産分与が生活再建のカギとなる理由について説明します。

50代離婚における老後資金・退職金・年金分割

50代での離婚では、老後に備えた資金の取り扱いが極めて重要です。典型的なのが退職金と年金の問題です。例えば、夫が定年間近の場合、その退職金は夫婦が長年かけて蓄えた財産とみなされ、離婚時に財産分与の対象となります。まだ退職金を受け取っていなくても、受給が見込まれるのであれば婚姻期間に相当する分を財産分与に含めて算定するのが一般的です。

また、公的年金については年金分割の制度があり、婚姻期間中の厚生年金の納付実績を夫婦で分けることが可能です。年金分割は、専業主婦など収入格差による老後の年金額の差を是正するために設けられた制度で、離婚後に双方が公平な年金を受け取れるようにするものです。50代の熟年離婚では、この年金分割の手続きを忘れずに行うことが老後の生活費確保の観点から非常に重要となります。

専業主婦・パート主婦のリスクと対策

50代の離婚では、長年専業主婦(またはパート主婦)として家庭を支えてきた妻にとって、離婚後の経済的不安が大きなリスクとなります。配偶者に収入を頼っていた場合、離婚後は自ら収入を確保しなければならず、年齢的にも再就職が容易ではありません。

また、婚姻期間中に築いた財産が夫名義になっていることが多く、夫が財産を秘匿したり過少に申告したりすると、妻が正当な取り分を得られない恐れもあります。対策としては、離婚前から夫婦の財産状況を正確に把握し、預貯金通帳や不動産登記などの資料を整理しておくことが重要です。先述のとおり、専業主婦であっても婚姻期間中の共同財産については原則として半分を受け取る権利があります。

正当な財産分与を確保するため、協議では遠慮せずに権利を主張し、必要であれば離婚調停や審判の場で財産開示を求めることも検討しましょう。さらに、年金分割の手続きを含め、離婚後に受け取れる公的年金や退職金の分配も漏れなく行うことで、将来の生活資金を少しでも多く確保することができます。

離婚協議書・公正証書で財産分与を確実にする

離婚協議書・公正証書で財産分与を確実にする

財産分与を巡るトラブルを防ぎ、合意内容を確実に履行させるためには、離婚協議書や公正証書といった形で文書化しておくことが有効です。適切な書面を残しておけば、後になって「聞いていない」「約束していない」といった紛争を防止でき、万一支払いが滞った場合にも法的手段による対処が容易になります。

本トピックでは、口頭の約束だけに頼ることの危険性を確認し、離婚協議書を作成するメリット、さらに公正証書にすべき場合とその効力について解説します。

口約束では危険な理由

財産分与の約束を口頭で交わしただけの場合、後になって相手がその約束を履行しない・忘れた・「そんな話はしていない」と主張するといったリスクがあります。口約束は証拠が残らないため、たとえ離婚時に互いに合意していた内容でも、立証が困難になり、「言った/言わない」の泥沼の紛争に発展しかねません。

特に多額の金銭支払いや資産分与を伴う場合、口約束だけでは相手に法的な履行義務を強制できないため非常に危険です。また、法律上、財産分与の請求権は離婚成立から2年(改正により5年に変更していますが、令和7年6月時点では未施行です。)で消滅してしまいます。

例えば、「退職金が出たら渡す」と口頭で約束されても、離婚後2年(5年)以上経ってからでは法的請求権が失われてしまい、泣き寝入りとなる恐れもあります。こうした理由から、財産分与の内容は必ず書面に残すべきなのです。

離婚協議書の意義と作成のメリット

離婚協議書とは、夫婦が離婚に際して取り決めた事項(財産分与や慰謝料、養育費、親権など)を記載した書面のことです。双方が署名押印して作成し、お互いに原本を保管します。

離婚協議書を作成しておけば、後から合意内容をいつでも確認でき、万一相手が約束を守らない場合に裁判所で履行を求める際にも有力な証拠資料となります。

口頭合意では時間が経つにつれて認識にズレが生じたり、当事者の記憶が曖昧になったりする恐れがありますが、書面があれば「何をどう分けると合意したか」が明確に残ります。また、財産分与の金銭を分割払いにする場合など、支払いスケジュールや方法も離婚協議書に明記しておくことで、後日のトラブル防止に役立ちます。

離婚協議書自体には強制執行力(法的な強制力)はありませんが、それでも作成しておくメリットは大きく、離婚の際には必ず書面化することが望ましいでしょう。

公正証書にしておくべきケースと理由

離婚協議書を公正証書にしておくと、合意内容の履行確保がより強固になります。公正証書とは、公証役場で公証人が作成する公式な文書で、当事者が内容に強制執行を受け入れる旨(強制執行認諾条項)を盛り込んでおくことで、相手が支払いを怠った際に直ちに強制執行(財産差押え等)が可能となります。

離婚協議書だけでは、相手が約束を守らない場合に改めて裁判を起こして判決を得る必要がありますが、公正証書化しておけば裁判所の手続きを経ずに相手の給与や預貯金を差し押さえることができます

したがって、高額な財産分与の支払いや長期にわたる分割払い(分割給付)を取り決める場合、あるいは相手の支払い能力や履行に不安がある場合には、公正証書にしておくことを強くおすすめします。

養育費や慰謝料の支払いも同時に発生するケースでは、それらも含めて一括して公正証書に残しておくことで万全を期すことができます。公正証書の作成には手間と多少の費用がかかりますが、将来的な強制執行まで見据えると、安心料として検討する価値があるでしょう。

公正証書の作成手順

以下に、公正証書を作成する際の一般的な手順を説明します。

離婚協議書の内容を確定させる

まずは当事者間で合意した内容を明確に文書化します。たとえば以下のような事項を整理しておきます。

  • 財産分与の金額や支払い方法(一括か分割か)
  • 養育費の額、支払期間、支払方法
  • 慰謝料の有無とその金額
  • 面会交流の取り決め
  • 清算条項(「本合意により他に一切の請求をしない」旨)

公証役場に事前相談を行う

作成する文書が強制執行に耐え得る内容かどうか、公証役場の公証人に事前相談します。公証役場には、できれば合意内容の下書き(ワードファイル等)を持参または事前にメール送信しておくと効率的です。また、この際、以下の情報を整理しておくとよいでしょう。

  • 当事者の氏名・住所・生年月日・職業など
  • 強制執行認諾条項を含めたい旨

※多くの公証役場では、予約が必要なため事前に電話等で確認しておくことを推奨します。

必要書類の準備

公正証書の作成にあたって、以下の書類を用意します。

  • 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード等)
  • 印鑑(認印で可)
  • 合意内容をまとめた文書案
  • 戸籍謄本

※委任代理人が作成に同席する場合は、委任状と代理人の本人確認書類も必要です。

公証役場で公正証書を作成・署名

当日は、当事者双方(または代理人)が公証役場に出向き、公証人の面前で内容を確認の上、署名・押印を行います。この段階で、文言や条項の最終調整が入る場合もあります。

公正証書の完成・交付

作成が完了すると、原本は公証役場に保管され、正本および謄本が当事者に交付されます。支払が滞った場合は、この「正本」を持って裁判所に強制執行の申立てを行うことができます。

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離婚協議書や公正証書の作成は専門家にお任せください

離婚にともなう財産分与の取り決めは、今後の生活に直結する極めて重要な事項です。口約束だけで済ませてしまうと、将来的なトラブルの火種となりかねません。特に50代の離婚では、老後資金や年金分割といった長期的視点からの備えが不可欠であり、そのためにも法的に有効な書面を整えておくことが大切です。

特に、次のようなお悩みをお持ちの方はご相談ください。

  • 夫が家計をすべて管理していて、財産状況がまったく分からない
  • 財産分与や退職金の取り決めをしたが、きちんと支払われるか不安
  • 離婚後に相手が支払を拒否することが心配なので、公正証書にしたい
  • 専業主婦だったため、年金分割や生活費の確保が心配
  • すでに離婚は成立したが、財産分与の請求期限が迫っている

当事務所では、こうした熟年離婚に関するお悩みに丁寧に対応しております。離婚協議書の作成から公正証書化のサポートまで、実務に精通した行政書士が一貫して対応いたしますので、法律知識に不安のある方もご安心ください。

事前の準備や公証役場とのやりとり、公正証書作成に必要な文案の整理もすべてサポート可能です。初回相談はメール・電話いずれでも対応しておりますので、お一人で悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。

サービスの特徴

きめ細やかな対応

ご依頼者様のご状況に合わせた、離婚協議書や公正証書を作成いたします。これまでに、ネット上のサンプルやテンプレートでは対応できないような難易度の高い離婚協議書や公正証書の作成も対応させていただいた実績があります。

柔軟な相談や業務の対応

対面、電話、オンラインなど、お客様のご都合に合わせた相談方法をご用意しております。さらに、当事務所では離婚協議書の作成に加え、公正証書の作成も取り扱っております。公正証書の作成については、全国的に対応しています。

明確な料金体系

事前にお客様のご状況をヒアリングした上で、サービス内容と料金の詳細をお伝えしますので、料金体系は明瞭にさせていただいております。

全国対応

当事務所は大阪市に事務所がありますが、離婚協議書や公正証書の作成については、大阪府、兵庫県、奈良県を中心に全国からご依頼を承っております。これまでに、東京都や神奈川県、広島県、沖縄県など幅広くご依頼を承ってまいりました。

離婚協議書作成の流れ

  1. 初回相談
    まずは、電話や問い合わせフォームよりご連絡ください。お客様の状況をヒアリングし、離婚協議書作成の記載内容などをお伺いし、御見積やご準備いただく書類等をお伝えいたします。
  2. 契約締結
    上記1によってご依頼いただいた内容で契約締結をします。お支払は契約締結後5日以内とさせていただいております。
  3. 協議書の草案作成
    離婚協議書、公正証書いずれのご依頼であっても、まずは協議書の草案をPDF等のファイルでご確認いただきます。お送りする協議書の草案をご夫婦でご確認ください。
  4. 協議書の修正等
    作成した草案の内容について必要に応じて変更や修正をいたします。その際に、不明点や疑問点があればお気軽にお申し付けください。
  5. 協議書の製本と郵送
    確定いただいた協議書を当事務所で製本し、郵送させていただきます。なお、公正証書とする場合には公証役場にて手続をいたします。

料金

サービス料金概要
⑴離婚協議書の作成と製本44,000円離婚協議書を作成し、製本までを対応させていただきます。
⑵離婚公正証書の作成サポート
(上記⑴を含みます。)
77,000円~離婚公正証書の作成をサポートさせていただきます。代理調印が必要かなのかどうかで費用が異なります。

※)上記金額に実費がかかります。

当事務所にお任せいただくメリット

  • 安心と安全をご提供します
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    煩雑な離婚協議書の作成を当事務所にご依頼いただくことで、お客様の貴重な時間を節約できます。
  • トラブル予防
    将来起こり得るトラブルを第三者からの視点で予測し、それを防ぐための条項を検討させていただきます。
  • 専門的アドバイス
    離婚に関する法的な疑問や離婚後の手続なども専門家の立場からアドバイスいたします。

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    【政府の記事】
    日本年金機構「離婚時の年金分割」
    法務省「年金分割」
    法務省「離婚を考えている方へ~離婚をするときに考えておくべきこと~」
    厚生労働省「令和4年度 離婚に関する統計の概況」

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