離婚協議書における財産分与の記載は、離婚協議書作成時の重要な要素です。財産分与に関しては、夫婦が共同で所有する財産や個別に所有する財産の分配方法を具体的に記載する必要があります。具体的な財産には、不動産、預貯金、株式などがあり、これらの財産については、離婚後の分配方法や条件を明確に定めることが求められます。
さらに、財産分与の協議内容を法的に確実なものにするため、離婚協議書を公正証書として作成することが推奨されます。公正証書は、公証人が立会いのもとで作成する法的な証拠書類であり、その内容は法的に保障されます。この記事では、離婚協議書における財産分与の記載方法、公正証書にする場合のメリット、および作成の流れについて詳しく説明します。
離婚協議書による財産分与の書き方
離婚協議書において、財産分与を具体的に記載することは重要です。離婚による財産分与の対象財産として不動産、預貯金、株式などの財産が挙げられます。離婚協議書では、これらの財産をどのように分与するのかを具体的に記述します。
預金
預金の財産分与では、共有預金の名義人が相手方に対して、合意によって決めた分与額を支払うことが一般的です。離婚協議書に記載する場合は、次のような記載を検討することができます。
甲は、乙に対し、本件離婚に伴う財産分与として金○○万円を支払うことを認め、乙の指定する預金口座に振込送金する方法で支払う。振込手数料は甲の負担とする。 |
不動産
不動産の分与では、名義変更の時期が重要になります。例えば、住宅ローンが残っている不動産について、離婚による財産分与で譲渡することは実際に多いのですが、このようなケースで不動産の名義を変更をしてしまうと、不動産の名義人を第三者が確認できるようになってしまい。銀行から契約違反を指摘されて住宅ローン残高の一括返済を求められてしまうリスクがあります。不動産の財産分与が必要な場合は、記載が複雑になることが多いため専門家に相談することを推奨します。書き方は次のとおりです。
甲は、乙に対し、本件離婚に伴う財産分与として、下記の不動産を譲渡することとし、甲と乙が協議により定めた日に前記財産分与を原因とする所有権移転登記をする。 記 所在: 東京都千代田区丸の内1丁目1番地 |
株式
株式を分与する場合には、株式の種類によって異なりますが、通常は株式の名義変更が必要となります。離婚協議書によって株式を特定する場合は次のように記載を検討することができます。
甲は、乙に対し、本件離婚に伴う財産分与として、下記の株式を譲渡する。株式の名義変更にかかる手数料および費用は甲の負担とする。 記 株式の銘柄:△△株式会社 |
離婚協議書によって決めた財産分与は公正証書にするべき
財産分与を記載した離婚協議書は、公正証書として作成することが望ましいです。公正証書とは、公証人が立会いのもとで作成される法的な証拠書類であり、離婚協議書より高い証拠力を有しております。その他にも離婚協議書を公正証書で作成するメリットや作成手順は次のとおりです。
公正証書にするメリット
法的効力の強化
公正証書は公証人が作成するため、書類の真正性が高いです。そのため、万一、財産分与に関して離婚後に当事者間で問題が発生した場合、公正証書を裁判所で有力な証拠として提出することが可能です。
強制執行が可能
公正証書には強制執行の効力を備えることができます。夫婦の財産分与が預金等の分割払いであれば、もし相手が合意した内容(毎月の返済など)を履行しない場合、裁判所で判決を経ずに強制執行の手続に移行することができます。
紛争の予防
公正証書として作成することで、合意内容が明確に記録され、将来的な誤解や争いを防ぐことができます。さらに、公証人は、法的な観点から合意による記載内容をチェックし、必要に応じて適切な表現や修正を提案してくれます。これにより、文書の不備や法的リスクを軽減することができます。
公正証書の保管
作成した公正証書は、公証役場に保管されるため、原本の紛失や改竄のリスクが低いため安心です。
公正証書の作成手続き
- 公証人の選定
公証人役場を訪問し、当日の代表公証人と公正証書の作成を打ち合わせします。公証人は、公証人法に基づく法律の専門家です。 - 必要書類の準備
公正証書の作成には、離婚協議書の案文に、当事者の身分証明書(運転免許証やマイナンバーカード等)や戸籍謄本などが必要です。 - 公正証書の原稿確認
前記により打ち合わせと必要書類の提出後、約1週間で公正証書の原稿が届きます。この原稿を夫婦で確認し内容を最終調整します。 - 公正証書の作成
夫婦の合意に基づき作成された公正証書に当事者が署名・押印を行い、公正証書は作成されます。作成後は通常、債権者には正本、債務者には謄本が交付されます。
離婚協議書による財産分与の書き方の注意点
離婚協議書に財産分与を記載する場合、分与する財産(共有財産)と分与しない財産(特有財産)を明確に区分することが重要です。共有財産とは、一般的に婚姻中に得た夫婦の所得等が該当し、特有財産とは、婚姻前に所有していた財産や、婚姻中に相続や贈与によって取得した財産を指します。特有財産は夫婦の共有財産と区別され、財産分与の対象には含まれません。
そのため、離婚協議書による財産分与では共有財産をきちんと明記した上で、清算条項と呼ばれる「当事者間での財産や債務の処理を全て完了し、将来にわたって互いに何らの請求もしない」ことを相互に確認する条項を盛り込んでおくことが重要です。これにより、離婚後に共有財産や特有財産のそれぞれの考え方による金銭的なトラブルを防ぐことができます。
離婚協議書による財産分与の書き方ーよくある質問
Q離婚協議書にはどのような内容を記載する必要がありますか?
離婚協議書には、一般的に以下の内容が記載されます。
- 当事者の氏名および住所
- 離婚の合意事項財産分与の内容(預金、不動産、株式などの詳細)
- 養育費や慰謝料に関する取り決め
- 面会交流に関する取り決め
- 年金分割
- 清算条項等
Q財産分与の対象となる財産にはどのようなものがありますか?
財産分与の対象となる財産は、婚姻中に夫婦が共同で築いた財産(共有財産)です。具体的には預金、不動産(住宅、土地など)、自動車、株式や投資信託、退職金や年金の一部が挙げられます。
Q離婚協議書における預金の財産分与の書き方は?
例えば、預金の財産分与は以下のように記載します。
甲は、乙に対し、本件離婚に伴う財産分与として金○○万円を支払うことを認め、乙の指定する預金口座に振込送金する方法で支払う。振込手数料は甲の負担とする。 |
Q不動産の財産分与の際に注意すべき点は?
不動産の財産分与には名義変更の時期が重要です。住宅ローンが残っている場合、名義変更をすると契約違反とみなされるリスクがあります。記載の例は次のとおりです。
甲は、乙に対し、本件離婚に伴う財産分与として、下記の不動産を譲渡することとし、甲と乙が協議により定めた日に前記財産分与を原因とする所有権移転登記をする。 記 所在:○○県○○市○○町○丁目○番地 |
Q婚姻中に相続した財産は財産分与の対象になりますか?
一般的に、婚姻中に相続した財産や贈与された財産(特有財産)は、財産分与の対象にはなりません。ただし、特有財産であっても、夫婦共同で管理・運用されていた場合には一部が共有財産とみなされることがあります。
Q清算条項とは何ですか?
清算条項とは、離婚協議書において「当事者間での財産や債務の処理を全て完了し、将来にわたって互いに何らの請求もしない」ことを相互に確認する条項です。これにより、離婚後の金銭的なトラブルを防ぐことができます。
Q離婚協議書は公正証書にするべきですか?
はい、公正証書にすることで、合意内容が明確に記録され、将来的な誤解や争いを防ぐことができます。公証人による法的なチェックや表現の提案も受けられるため、文書の信頼性が高まります。さらに、公正証書は公証役場に保管されるため、安全に管理されます。
離婚協議書作成のご相談は
無料サンプルなどを使用して離婚協議書や公正証書の原稿を作成することは、コストや時間の節約になる可能性がありますが、自分のケースに変更しなければ適切な文書として作成できないなどデメリットが存在します。特に離婚条件が複雑な場合や財産が多い場合には専門家のアドバイスを受けながら作成することをお勧めします。
当事務所では、離婚協議書の作成を専門に取り扱っており、各ご家庭の状況やニーズに応じた最適な協議書を作成するお手伝いをしております。ご不明点や下記のようなお悩みをお抱えの方は、ぜひご相談ください。
- 夫婦で協議離婚を希望している
- 財産分与の対象財産が多く複雑な場合
- 未成年の子どもがいる場合
- 離婚後の生活や住居の決め事を明確にしたい
- 慰謝料の支払いがある場合
- 年金分割を合意している場合
- 債務の分担がある場合
- 離婚後のトラブルを防ぎたい場合
以下に、当事務所の離婚協議書作成サービスの特徴と流れをご紹介いたします。
サービスの特徴
豊富な経験
当事務所では、これまでに多数の離婚協議書や公正証書の作成をサポートさせていただきました。ネット上の口コミ数は150件を超えており、総合評価が4.9/5と高く評価をいただいております。そのため、当事務所によって提供させていただくサービスは自信を持っております。
きめ細やかな対応
ご依頼者様のご状況に合わせた、離婚協議書や公正証書を作成いたします。これまでに、ネット上のサンプルやテンプレートでは対応できないような難易度の高い離婚協議書や公正証書の作成も対応させていただいた実績があります。
柔軟な相談や業務の対応
対面、電話、オンラインなど、お客様のご都合に合わせた相談方法をご用意しております。さらに、当事務所では離婚協議書の作成に加え、公正証書の作成も取り扱っております。公正証書の作成については、全国的に対応しています。
明確な料金体系
事前にお客様のご状況をヒアリングした上で、サービス内容と料金の詳細をお伝えしますので、料金体系は明瞭にさせていただいております。
全国対応
当事務所は大阪市に事務所がありますが、離婚協議書や公正証書の作成については、大阪府、兵庫県、奈良県を中心に全国からご依頼を承っております。これまでに、東京都や神奈川県、広島県、沖縄県など幅広くご依頼を承ってまいりました。
離婚協議書作成の流れ
1.初回相談
まずは、電話や問い合わせフォームよりご連絡ください。お客様の状況をヒアリングし、離婚協議書作成の記載内容などをお伺いし、御見積やご準備いただく書類等をお伝えいたします。
2.契約締結
上記1によってご依頼いただいた内容で契約締結をします。お支払は契約締結後5日以内とさせていただいております。
3.協議書の草案作成
離婚協議書、公正証書いずれのご依頼であっても、まずは協議書の草案をPDF等のファイルでご確認いただきます。お送りする協議書の草案をご夫婦でご確認ください。
4.協議書の修正等
作成した草案の内容について必要に応じて変更や修正をいたします。その際に、不明点や疑問点があればお気軽にお申し付けください。
5.協議書の製本と郵送
確定いただいた協議書を当事務所で製本し、郵送させていただきます。なお、公正証書とする場合には公証役場にて手続をいたします。
料金
サービス | 料金 | 概要 |
離婚協議書の作成と製本 | 40,000円 | 離婚協議書を作成し、製本までを対応させていただきます。 |
離婚公正証書の作成サポート | 60,000円~ | 離婚公正証書の作成をサポートさせていただきます。代理調印が必要かなのかどうかで費用が異なります。 |
※)上記金額に実費がかかります。
当事務所にお任せいただくメリット
安心と安全をご提供します
法的知識と豊富な経験に基づいた、安全で信頼性の高い協議書を作成いたします。
時間の節約
煩雑な離婚協議書の作成を当事務所にご依頼いただくことで、お客様の貴重な時間を節約できます。
トラブル予防
将来起こり得るトラブルを第三者からの視点で予測し、それを防ぐための条項を検討させていただきます。
専門的アドバイス
離婚に関する法的な疑問や離婚後の手続なども専門家の立場からアドバイスいたします。
お問い合わせ
離婚協議書の作成について、ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。経験豊富な行政書士が、お客様の状況に寄り添いながら、最適な離婚協議書や公正証書の作成をサポートいたします。
お客様の声
お客様からいただいたお声の一部はこちらをご確認ください。
離婚協議書による財産分与の書き方ーまとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。こちらの記事では、離婚協議書による財産分与の書き方について具体的な例や対象となる財産について下記の内容を記載させていただきました。
- 離婚協議書による財産分与の書き方
- 預金
- 不動産
- 株式
- 離婚協議書によって決めた財産分与は公正証書にするべき
- 公正証書にするメリット
- 公正証書の作成手続き
- 離婚協議書による財産分与の書き方の注意点
- 離婚協議書による財産分与の書き方ーよくある質問
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