離婚協議書において、再婚後の養育費について事前に取り決めを行うことは、将来的なトラブルを未然に防ぐために非常に重要です。離婚後も親としての子供の養育義務は継続するため、再婚する場合には養育費の取り決めに関する事項を明記しておくことが望ましいです。
再婚後の生活状況や養子縁組の有無に応じて、養育費の減額や免除の取り決めを行うことで、支払う側は、経済的な負担を軽減することができ、また双方の合意を明確にすることができます。
こちらの記事では、離婚協議書における再婚した場合の養育費に関する記載の重要性と具体的な記載例について詳しく説明します。再婚後の養育費の取り決めを適切に行うことで、未来のトラブルを防ぎ、安心した生活設計が可能となります。
離婚協議書に再婚した場合の記載をしておく重要性と具体例
離婚協議書には、将来再婚した場合の養育費の減額や免除について記載しておくことが可能です。
以下にその重要性と具体的な記載例について説明します。
再婚後の養育義務について
離婚後も親は子供に対して養育義務を負っています(民法877条1項)。これは親権を持たない親も同様であり、実子に対する扶養義務が継続します。一方、親権者が再婚し、再婚相手と子供が養子縁組をした場合、第一次的に養親となった再婚相手が子供に対して扶養義務を負うことになります。(民法818条2項)。
第877条(扶養義務者) 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。 |
第818条(親権者) 1 成年に達しない子は、父母の親権に服する。 2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。 |
離婚協議書における記載の意義
再婚後の養育費に関する取り決めを離婚協議書に明記しておくことは、将来的なトラブルを回避するために有効です。再婚相手と子供が養子縁組をした場合、養育費の減額や免除を定めることが可能です。また、再婚相手と子供が養子縁組をしていない場合でも、夫婦間で養育費の減額等を合意することができます。
離婚協議書に再婚した場合の決め事をするメリット
離婚協議書において再婚した場合の取り決めを行うことは、双方にとってさまざまなメリットをもたらします。
以下に、養育費の支払う側と受ける側の両方にとってのメリットについて詳しく説明します。
養育費の支払う側のメリット
経済的な負担の軽減
養育費の支払う側にとって、再婚後の養育費の減額や免除を事前に取り決めておくことは、経済的な負担を軽減するメリットがあります。もし、離婚協議書や公正証書によって、相手の再婚による養育費の減額を記載せずに、養育費を大学まで支払うなどと契約をした場合には、相手が再婚をしても養育費を減額することなく、離婚時に決めた金額を払い続ける必要があります。そのため、離婚の協議時に養育費の支払いを受ける側の再婚による減額を定めておくことには大きな意義があります。
さらに、養育費を支払う側も、離婚後に新たな家庭を持つケースもあります。この場合には、当然、経済的な負担が増えることが予想されますので、養育費の支払いを受ける側が再婚した場合の養育費の減額や免除を事前に取り決めておくことで、後の不安やストレスが軽減されます。
養育費の支払いを受ける側のメリット
再婚が計画的にできる
再婚による養育費の支払いを受ける側は、養育費の金額が減るため当然デメリットが大きいと考えられますが、事前に減額を取り決めることで得られるメリットもあります。まず、元夫(妻)が再婚をした時に、養育費のことで揉めることがなくなり、円滑なスタートを切ることができます。
また、養育費が減額されることを予め知っておくことで、計画的に再婚の準備ができるため、新しい家庭の経済状況を見据えて再婚のタイミングや生活設計を考えることができます。加えて、再婚による養育費の減額した金額を予め決めておくと、心の準備がしやすくなり、再婚後の生活において予想外の経済的な変動に対する不安やストレスが軽減され、安心して新しい家庭生活に集中することができます。
双方にとっての総合的なメリット
透明性と合意の確保
再婚後の養育費に関する取り決めを離婚協議書に明記することで、双方にとって透明性が確保され、再婚後のトラブルを未然に防ぐことができます。また、離婚協議書や公正証書によって再婚後の養育費の取り決めを含めておくことで、離婚時に決めた双方の合意が文書として残ります。これにより、後々の紛争を防ぐための強力な証拠となります。
離婚協議書に再婚後の養育費についての取り決めを行うことは、養育費の支払う側と受ける側の双方にとって多くのメリットをもたらします。再婚後の経済的な安定と心の準備を確保し、透明性と合意を確保することで、将来的なトラブルを防ぐことができます。このような取り決めを通じて、再婚後の生活においても子供の養育に専念し、安心して生活することが可能となります。
再婚による養育費減額の記載例
離婚協議書や公正証書において、再婚後の養育費について記載する具体的な例を以下に示します。
記載例1 「乙が再婚し、再婚相手と丙(子供)が養子縁組をした場合、甲の乙に対する養育費は減額(免除)する。減額後の養育費は甲と乙の協議により定める。」 |
記載例2 「乙が再婚した場合、甲の乙に対する養育費を減額(免除)する。減額後の養育費は甲と乙の協議により定める。」 |
このように明記することで、将来的な再婚による養育費の取り扱いについて事前に取り決めておくことができます。さらに、再婚後の生活状況や養子縁組の有無など、将来の変化に対応できるような取り決めを離婚協議書に含めることも重要です。
子供の扶養義務について
重要な点として、子供の扶養については子供自身が持つ権利であるため、離婚協議書に再婚による養育費の減額や免除を定めたとしても、子供が非親権者に対して有する扶養請求権は残ります。
そのため、夫婦間で再婚後に養育費の減額や免除が合意されていたとしても、子供の生活状況や再婚相手の資力を踏まえて、子供やその代理人から養育費を請求される可能性があります。
未成熟子について
未成熟子とは、年齢に関係なく、経済的に自立できず親からの扶養を必要とする子どもを指します。未成熟子は、単なる未成年とは異なり、経済的に自立する能力があるかどうかで判断されます。例えば、学校に在学中や身体・精神的障害がある場合、高校卒業後の就職や大学進学中の子どもも未成熟子として扱われることがあります。
未成熟子と養育費との関係
未成熟子に対する養育費の支払い義務は、その子どもが自立できるまで続きます。家庭裁判所では原則として20歳まで支払うことが多いですが、具体的には家庭環境や子どもの状況に応じて判断されます。
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再婚した場合には通知義務を記載する
通知義務とは
再婚した場合には、通知義務を離婚協議書や公正証書に記載することが重要です。
通知義務とは、養育費の支払いまたは面会交流に関連して、お金を支払う側や支払を受ける側の住所や勤務先などの情報が変更された際に、その変更を相手方に通知する義務を指します。
一般的には、養育費を支払う側がこの通知義務を負うことが多いですが、公平性を重視する場合には、双方が通知義務を負うこともあります。特に、再婚の場合には、通知義務の記載は双方に対して義務を負わせる内容になることが多いです。
通義義務に違反された場合の対処
通知義務の違反については、損害が発生した場合にその証明が求められます。通知義務が違反されると、例えば養育費の未払い問題や面会交流の調整が困難になるなどの問題が生じる可能性があります。これにより発生する損害を証明することは、具体的な損害額を立証する必要があるため、実務的には困難な場合があります。
このリスクを軽減するために、離婚協議書や公正証書に違約金条項を盛り込む方法があります。違約金条項とは、通知義務が履行されなかった場合に、相手が支払うべき金額をあらかじめ定めておくものです。これにより、違反によって発生する損害に対する予防的な対応をすることができます。
ただし、違約金条項を設けるには、相手の同意が必要です。双方の合意がないと、違約金の設定は有効にならないので注意が必要です。
通知義務の書き方
記載例1 甲が、住所や勤務先を変更した時は、乙に通知する。 |
記載例2 乙が、再婚した場合には、甲に通知する。 |
このように記載しておくことで、再婚後の生活の変化があった際にも、お互いに適切に情報を共有し、養育費の支払い及び面会交流が円滑に進むようにすることが可能となります。
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再婚による養育費の減額を記載した書面は公正証書で契約する
公正証書とは、公証人と呼ばれる元々裁判官などであった法律の専門家(特別な公務員)によって作成される書面であり、一般的な契約書(私文書)と異なり、文書の真正性が高く保証されています。
公正証書としてのメリットと手続き
公正証書として契約を締結することには、以下のようなメリットがあります。
- 内容の確認と適正化
公証人が公正証書の内容を確認し、法律的に正確でわかりやすい表現に整えてくれます。これにより、契約内容が適切に文書化され、誤解や不明確な点が減少します。 - 原本の保管
公正証書の原本は公証役場に安全に保管されるため、万が一原本を紛失しても、公正証書謄本を取得することで再発行が可能です。 - 強制執行の効力
金銭に関する契約には、強制執行認諾文言を含めることができるため、契約の履行がなされない場合には、裁判所を通じて迅速に債権回収を行うことができます。ただし、養育費を変更する場合には新たに公正証書を作成し直す必要があるでしょう。 - 契約の履行確率の向上
公正証書という形式で契約を締結することで、義務を守る確率が高まります。公正証書は法的な効力を持つため、契約の履行に対する信頼性が増し、義務を怠るリスクが軽減します。
公正証書の作成手順
公正証書を作成する際の流れは以下の通りです。
- 公正証書の案文作成
契約内容に基づき、公正証書の案文を作成します。専門的な知識が必要な場合もあるため、記載内容について事前に調査し、正確な文面を用意することが重要です。 - 必要書類の取得
公正証書に必要な書類を準備します。これには、戸籍謄本や運転免許証(マイナンバーカード)場合によっては登記簿謄本などが含まれます。 - 公証役場への連絡
公証役場に連絡し、公証人との打ち合わせの日程を調整します。この際、必要書類についても確認しておくと良いでしょう。 - 公証役場での打ち合わせ
公証役場で初回の打ち合わせを行い、公正証書の内容を確認します。契約の詳細について公証人と相談し、必要な質問への回答を行います。 - 公証人による原稿作成
公証人が公正証書の原稿を作成し、メールなどでその内容を確認します。内容が確定したら、最終的な作成日を決定します。 - 公正証書の調印
当事者が公証役場に出向き、公正証書に調印します。調印が完了すると、公正証書が正式に作成されます。
公正証書の費用
公正証書の作成には、一般的に4万円から6万円の費用がかかります。費用は公正証書の内容(記載する額)によって異なるため、事前に公証役場に大体の金額を確認しておくと良いでしょう。
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養育費支払義務の免除に関する決定(東京高裁2020年3月4日決定)
事案の概要
未成年者らの実父が、未成年者らの母に対し、未成年者らが母の再婚相手と養子縁組したことを理由に、協議離婚時に合意された養育費の支払義務の免除を求める調停を申し立てました。しかし、調停は不成立となり、審判に移行しました。原審では実父の支払義務の免除が認められましたが、その始期が養子縁組の日以降とされたため、母および養父が抗告しました。
決定の概要
- 養育費支払義務の免除
実父の養育費支払義務については、原審と同様に免除が相当とされました。しかし、免除の始期については原審の判断を変更しました。 - 免除の始期
「既に支払われて費消された過去の養育費について、法的根拠を失わせると、多額の返還義務を生じさせ、抗告人らに不測の損害を与えることになる」とし、免除の始期を養子縁組の日ではなく、実父からの養育費免除の調停申立時とするべきとされました。
また、相手方(実父)が再婚や養子縁組の可能性を認識しながら、調査や確認をせず、3年以上にわたり720万円の養育費を支払い続けていたことから、養子縁組の成立時期に重きを置いていたわけではなく、未成年者らの福祉の観点から支払いを続けていたと評価されました。この決定は、養育費支払義務の免除について、始期を養子縁組時から調停申立時に変更することで、過去に支払われた養育費の返還義務が不当に重くならないよう配慮された例です。
再婚時の記載をした離婚協議書の作成はお任せください
離婚協議書に再婚後の養育費についての記載をしておくことは、将来のトラブルを防ぐために重要です。再婚相手と子供が養子縁組をした場合には養育費の減額や免除を定めることができ、再婚相手と子供が養子縁組をしていない場合でも夫婦間での合意が可能です。ただし、子供の扶養については子供自身の権利であり、再婚後に扶養料を請求される可能性があることを考慮して取り決めを行うことが大切です。
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離婚協議書作成の流れ
- 初回相談
まずは、電話や問い合わせフォームよりご連絡ください。お客様の状況をヒアリングし、離婚協議書作成の記載内容などをお伺いし、御見積やご準備いただく書類等をお伝えいたします。 - 契約締結
上記1によってご依頼いただいた内容で契約締結をします。お支払は契約締結後5日以内とさせていただいております。 - 協議書の草案作成
離婚協議書、公正証書いずれのご依頼であっても、まずは協議書の草案をPDF等のファイルでご確認いただきます。お送りする協議書の草案をご夫婦でご確認ください。 - 協議書の修正等
作成した草案の内容について必要に応じて変更や修正をいたします。その際に、不明点や疑問点があればお気軽にお申し付けください。 - 協議書の製本と郵送
確定いただいた協議書を当事務所で製本し、郵送させていただきます。なお、公正証書とする場合には公証役場にて手続をいたします。
料金
サービス | 料金 | 概要 |
離婚協議書の作成と製本 | 40,000円 | 離婚協議書を作成し、製本までを対応させていただきます。 |
離婚公正証書の作成サポート | 60,000円~ | 離婚公正証書の作成をサポートさせていただきます。代理調印が必要かなのかどうかで費用が異なります。 |
※)上記金額に実費がかかります。
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煩雑な離婚協議書の作成を当事務所にご依頼いただくことで、お客様の貴重な時間を節約できます。 - トラブル予防
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離婚に関する法的な疑問や離婚後の手続なども専門家の立場からアドバイスいたします。
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離婚協議書に記載する再婚した場合の養育費‐よくある質問と回答
Q.再婚した場合、養育費の支払い義務はどうなりますか?
再婚後も養育費の支払い義務は基本的には変わりません。ただし、再婚相手との養子縁組が行われた場合や、夫婦が合意をした場合には、養育費の減額や免除が可能です。
Q.離婚協議書に再婚後の養育費の取り決めを含めるべき理由は?
再婚後の養育費について事前に取り決めておくことで、将来的なトラブルを回避できます。再婚によって生活状況が変わるため、養育費の減額や免除の取り決めをしておくことで、予期せぬ経済的負担やトラブルを防ぐことができます。
Q.再婚後の養育費の減額について、どのように取り決めることができますか?
再婚後の養育費の減額については、離婚協議書や公正証書に明記しておくことができます。具体的には、再婚相手した場合、再婚して養子縁組が行われた場合などに養育費の減額後の金額を詳細に記載します。
Q.再婚後の養育費の取り決めを公正証書にする利点は?
公正証書にすることで、契約内容が法的に確認され、強制執行の効力を持つため、養育費の支払い義務を履行しない場合には裁判所を通じて強制的に履行させることができます。また、公証役場に原本が保管されるため、紛失のリスクも減少します。
Q.再婚後の養育費について合意が得られない場合、どうすれば良いですか?
合意が得られない場合は、調停や裁判を通じて解決を図ることができます。調停では、第三者が介入して公平に問題を解決する手助けをしてくれますし、裁判では法的に判断を仰ぐことができます。
Q.再婚後に養育費の減額が決まった場合、どうやってその変更を文書に反映させますか?
養育費の減額が決まった場合、離婚協議書や公正証書にその変更を反映させるために、新たに公正証書を作成するか、既存の離婚協議書を修正する手続きが必要です。変更があったことを双方の合意のもと、文書として残すことが重要です。
Q.再婚後の養育費の減額に関する通知義務はどう設定するのが良いですか?
通知義務は、養育費を支払う側または受ける側が住所や勤務先の変更を通知する義務を定めることが一般的です。再婚時の通知義務も明記しておくことで、双方の情報変更を適切に共有し、トラブルを未然に防ぐことができます。
Q.再婚後の養育費の減額について合意がない場合、どういったリスクがありますか?
再婚後の養育費について合意がないと、再婚相手が養子縁組をした場合でも、養育費の減額や免除に応じてもらえない場合があり、争いが生じる可能性があります。
Q.離婚協議書における再婚後の養育費の取り決めは、子供にどのような影響がありますか?
再婚後の養育費の取り決めが適切であれば、子供の生活の安定を図ることができます。
Q.再婚後の養育費に関する取り決めを記載する際に注意すべきポイントは?
再婚後の養育費に関する取り決めを記載する際は、双方が納得するまで協議を重ねることが重要です。また、取り決め内容を公正証書にすることで、より高い法的効力を持たせることができます。さらに、再婚後の状況に応じた柔軟な対応ができるように、変更に関する条項も含めておくと良いでしょう。
離婚協議書に記載する再婚した場合の養育費‐まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。こちらの記事では、離婚協議書における再婚した場合の養育費に関する記載の重要性と具体的な記載例について詳しく説明させていただきました。
下記には、本記事を簡潔にまとめた内容を記載させていただいております。
1.再婚後の養育義務
基本的な義務: 離婚後も親は子供に対する養育義務を負います(民法877条1項)。親権者が再婚し、再婚相手と養子縁組をすると、養親が扶養義務を負います(民法818条2項)。
2.記載の意義
トラブル防止: 再婚後の養育費の減額や免除について明記することで、後の紛争を回避できます。
3.メリット
支払う側: 経済的負担の軽減、再婚後の家庭の経済的安定が図れる。
受ける側: 再婚に向けた計画が立てやすく、心の準備ができる。
双方: 透明性の確保と合意の文書化によるトラブル回避。
4.記載例
記載例1: 「乙が再婚し、再婚相手と丙が養子縁組をした場合、甲の乙に対する養育費は減額(または免除)する。減額後の金額は甲と乙の協議により定める。」
記載例2: 「乙が再婚した場合、甲の乙に対する養育費を減額(または免除)する。減額後の金額は甲と乙の協議により定める。」
5.扶養義務
子供の権利: 養育費の減額や免除が合意されていても、子供は扶養を請求する権利があります。
6.通知義務
通知義務の記載: 「甲が住所や勤務先を変更した場合、乙に通知する。」などの条項を追加し、情報の変更時に適切に対応できるようにします。
7.公正証書の作成
メリット: 内容の確認と適正化、原本保管、強制執行の効力、契約履行の確率向上。
手順: 案文作成、必要書類の準備、公証役場での打ち合わせ、調印。
費用: 一般的に4万円から6万円。
【参考】 >法務省 離婚を考えている方へ >法務省 離婚を考えている方へ~離婚をするときに考えておくべきこと~ >日本公証人連合会 公証事務 離婚 >民法 – e-Gov法令検索 |
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