離婚協議書は、離婚後のトラブルを防ぎ、両者がスムーズに新たな生活をスタートするために欠かせないものです。しかし、離婚協議書が適切に履行されないと、再び対立が生じ、精神的および経済的な負担が増す可能性があります。
この記事では、離婚協議書が不履行とならないための具体的な対策を詳しく解説し、不履行が生じた場合の対処方法も説明します。具体的な離婚協議書の条項、公正証書することによるメリット、不履行時の対策と法的手続きなど、実践的なアドバイスを提供します。
離婚協議書の不履行を起こさせないための対策
離婚協議書の記載は明確に
作成した離婚協議書の内容を相手に確実に履行させるためには、記載内容を明確にすることが重要です。自分だけでなく、相手も理解できるようにするため、相手の意見を尊重し、第三者にも内容を確認してもらうと良いでしょう。具体的な離婚協議書の記載については、曖昧な表現を避け、具体的な数字や日付を使用することが求められます。
例えば、養育費の場合、以下のように記載することが考えられます。
「丙(子供)の毎月の養育費として5万円を、毎月5日までに指定口座に振り込む。」 |
また、養育費については、子供が大学に進学したり、入院した場合など、単発的で大きな費用が発生する場合があります。こうした状況に対応するための柔軟性のある条項を追加することも重要です。具体的には次のように記載します。
「丙が大学に進学した場合には、養育費の金額を再協議する。」 |
署名時に内容確認をする
完成した離婚協議書は、両当事者が内容を十分に理解し、合意していることを確認するために、協議書の内容を口頭で確認し合うことが重要です。
必要に応じて専門家の助言を受けることも推奨されます。
支払いの自動化
養育費などの定期支払いは金融機関のサービスを利用することで、口座から自動引き落としができる設定にすることができます。支払い義務者の口座から自動的に引き落とされるように設定することで、支払いの遅延や忘れを防ぐことができます。これによる支払トラブルを予防することができます。
定期的な見直し
子どもの進学や怪我などによって急な費用が発生したり、夫婦の一方が無職となって養育費の支払いが難しくなる場合もあります。こうした事態を考慮し、金銭の授受に関する合意を定期的に見直すことが重要です。
例えば、年に一度など定期的な協議の場を設けることで、子どもの成長に伴う費用の変化や、双方の経済状況の変化を確認し、必要な調整を行うことができます。これらの話し合いは特別な時間を設ける必要はなく、面会交流の際に簡単に話し合うだけでも十分です。
離婚協議書の不履行を防ぐには公正証書を作成しておく
離婚協議書の不履行を防ぐためには、公正証書を作成しておくことが重要です。公証人役場で離婚協議書を公正証書として作成することで、万一、お金を支払う側が養育費などの金銭債務を履行しない場合でも、強制執行が可能となります。これにより、不履行時の強制執行手続きを相手の意思に関係なく円滑に進めることができます。具体的な公正証書の作成やそのメリットについては、以下の通りです。
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公正証書を作成する流れ
- 事前準備
離婚協議書の草案を作成し、両者の合意を確認します。また、「身分証明書、印鑑、戸籍謄本など」の必要書類を準備します。 - 公証役場の予約
公証役場に電話またはメールで予約を取り、公証人との面談の日程を決めます。 - 公証人との面談
公証役場に出向き、公証人と面談を行います。公証人が協議書の内容を確認し、必要に応じて修正を提案します。 - 公正証書の作成
公証役場に、夫婦で出向き、公証人が公正証書を読み上げますので、内容に間違いがなければ両者が署名・押印します。 - 公証役場での保管
作成された公正証書の原本は公証役場に保管され、当事者には正本と謄本が交付されます。
公正証書を作成するメリット
公正証書を作成することで、以下のような重要なメリットがあります。
- 強制執行が可能
公正証書には強制執行認諾文言を追加することで、養育費などの支払い不履行が発生した場合、裁判の判決を経ずに直ちに強制執行を行うことができます。これにより、迅速かつ確実に支払いを回収する手段を確保することができます。 - 原本の安全な保管
公正証書の原本は公証役場に保管されるため、紛失や改竄のリスクが大幅に低減されます。紛失した場合も、公証役場で数百円の手数料を支払うと謄本を交付してもらえます。 - 契約遵守の意識向上
公正証書は公証人によって作成される厳格な書面であり、その存在は契約の重要性を強く意識させます。これにより、当事者は契約内容を遵守する意識が高まり、不履行のリスクを減少させる効果が期待できます。
以上のように、公正証書を作成することで、養育費などの金銭債務の確実な履行を担保し、トラブルを未然に防ぐための有力な手段となります。
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離婚協議書と公正証書の不履行時の対策と法的手続き
以下では、離婚協議書や公正証書によって合意された養育費や慰謝料などの金銭的な支払いが不履行となった場合の対策を、それぞれのケースに応じて説明いたします。
離婚協議書の不履行時の対策
- 内容証明郵便による催促
離婚協議書の内容が履行されない場合、まずは不履行の事実と履行の要求を内容証明郵便で通知します。内容証明郵便は、送付した内容とその送付日時が証明されるため、相手に正式な催告を行うとともに、後々の法的手続きに備える連絡としても有効です。この段階で、多くのケースでは相手が履行に応じることがあります。 - 裁判所への申立準備
内容証明郵便による催促にも応じない場合、次のステップとして家庭裁判所への調停申立を検討します。調停は第三者である調停委員が仲介し、解決を目指す手続きです。これにより、紛争解決に向けた段階的な法的アプローチが可能になります。
公正証書の不履行時の対策
離婚協議書を公正証書として作成している場合、裁判所の判決なしで強制執行手続きを行うことができます。これは公正証書には通常、強制執行認諾文言が含まれているためです。強制執行の具体的な方法としては、相手の給料や預金の差し押さえがあります。これにより、直接相手の財産から未払いの養育費や慰謝料を回収することができます。強制執行は相手の財産に対する強力な手段であり、法的な効果を最大限に発揮するための有効な手続きです。
これらの違いは、離婚協議書が私人によって作成した合意書であるのに対し、公正証書は公証人によって作成され、強制執行認諾文言が含まれている点にあります。離婚協議書は相手が履行に応じない場合、裁判所の介入が必須ですが、公正証書の場合は直接強制執行が可能です。
離婚協議書が不履行とならない為の対策ーよくある質問
Q:離婚協議書を作成する際、どのように記載すれば良いですか?
A:離婚協議書の内容は明確かつ具体的に記載することが重要です。養育費や慰謝料などの金額や支払方法、支払期限等を詳細に記述します。また、曖昧な表現を避け、具体的な数字や日付を使用することで、双方の解釈の相違を防ぐことができます。
Q:離婚協議書を公正証書にするメリットは何ですか?
A:公正証書にすることで、養育費や慰謝料の支払い不履行が発生した場合、裁判の判決を経ずに直ちに強制執行を行うことができます。また、公正証書の原本は公証役場に保管されるため、紛失や改竄のリスクが大幅に低減されることも大きなメリットです。
Q:離婚協議書の支払いが滞った場合、まずどのように対処すれば良いですか?
A:まずは内容証明郵便を利用して、債務不履行の事実と履行の要求を通知します。内容証明郵便は送付した内容とその送付日時が証明されるため、第三者にいつ請求したかを証明するのに有効です。
Q:定期的に養育費などの支払い内容を見直す必要がありますか?
A:定期的な見直しは重要ですが、必須ではありません。例えば、公正証書によって決めた養育費の額を定期的に見直す場合には、その都度公正証書の変更の必要があり手間がかかります。
Q:離婚協議書の不履行に対する強制執行手続きとは何ですか?
A:離婚協議書を公正証書にしている場合、強制執行認諾文言が含まれていれば、裁判の判決なしで相手の給料や預金を差し押さえる手続きを行うことができます。しかし、離婚協議書では、原則として調停を経て、訴訟等により判決を得る必要があります。
Q:離婚協議書の署名時に注意すべき点は何ですか?
A:離婚協議書の署名時には、両当事者が内容を十分に理解し、合意していることを確認することが重要です。内容を口頭で確認し合い、必要に応じて専門家の助言を受けることをお勧めします。
これらの対策を講じることで、離婚協議書が不履行とならないようにし、万一不履行が生じた場合にも適切に対応することが可能です。
離婚協議書や公正証書の作成は
離婚協議書は、離婚後の生活をスムーズに進めるために欠かせない重要な文書です。しかし、適切に作成されないと不履行が生じ、再びトラブルが発生する可能性があります。当事務所では、離婚協議書が不履行とならないよう、明確かつ具体的な記載を心掛け、両者が誤解なく理解できるように対策を講じた離婚協議書の作成をお手伝いいたします。さらに、公正証書の作成サポートもしておりますので、強制執行が可能となり、万が一の不履行時にも迅速かつ確実に対応できるようにいたします。
当事務所では、離婚協議書の作成を専門に取り扱っており、各ご家庭の状況やニーズに応じた最適な協議書を作成するお手伝いをしております。ご不明点や下記のようなお悩みをお抱えの方は、ぜひご相談ください。
- 夫婦で協議離婚を希望している
- 財産分与の対象財産が多く複雑な場合
- 未成年の子どもがいる場合
- 離婚後の生活や住居の決め事を明確にしたい
- 慰謝料の支払いがある場合
- 年金分割を合意している場合
- 債務の分担がある場合
- 離婚後のトラブルを防ぎたい場合
以下に、当事務所の離婚協議書作成サービスの特徴と流れをご紹介いたします。
サービスの特徴
- 豊富な経験
当事務所では、これまでに多数の離婚協議書や公正証書の作成をサポートさせていただきました。ネット上の口コミ数は150件を超えており、総合評価が4.9/5と高く評価をいただいております。そのため、当事務所によって提供させていただくサービスは自信を持っております。 - きめ細やかな対応
ご依頼者様のご状況に合わせた、離婚協議書や公正証書を作成いたします。これまでに、ネット上のサンプルやテンプレートでは対応できないような難易度の高い離婚協議書や公正証書の作成も対応させていただいた実績があります。 - 柔軟な相談や業務の対応
対面、電話、オンラインなど、お客様のご都合に合わせた相談方法をご用意しております。さらに、当事務所では離婚協議書の作成に加え、公正証書の作成も取り扱っております。公正証書の作成については、全国的に対応しています。 - 明確な料金体系
事前にお客様のご状況をヒアリングした上で、サービス内容と料金の詳細をお伝えしますので、料金体系は明瞭にさせていただいております。 - 全国対応
当事務所は大阪市に事務所がありますが、離婚協議書や公正証書の作成については、大阪府、兵庫県、奈良県を中心に全国からご依頼を承っております。これまでに、東京都や神奈川県、広島県、沖縄県など幅広くご依頼を承ってまいりました。
離婚協議書作成の流れ
- 初回相談
まずは、電話や問い合わせフォームよりご連絡ください。お客様の状況をヒアリングし、離婚協議書作成の記載内容などをお伺いし、御見積やご準備いただく書類等をお伝えいたします。 - 契約締結
上記1によってご依頼いただいた内容で契約締結をします。お支払は契約締結後5日以内とさせていただいております。 - 協議書の草案作成
離婚協議書、公正証書いずれのご依頼であっても、まずは協議書の草案をPDF等のファイルでご確認いただきます。お送りする協議書の草案をご夫婦でご確認ください。 - 協議書の修正等
作成した草案の内容について必要に応じて変更や修正をいたします。その際に、不明点や疑問点があればお気軽にお申し付けください。 - 協議書の製本と郵送
確定いただいた協議書を当事務所で製本し、郵送させていただきます。なお、公正証書とする場合には公証役場にて手続をいたします。
料金
サービス | 料金 | 概要 |
離婚協議書の作成と製本 | 40,000円 | 離婚協議書を作成し、製本までを対応させていただきます。 |
離婚公正証書の作成サポート | 60,000円~ | 離婚公正証書の作成をサポートさせていただきます。代理調印が必要かなのかどうかで費用が異なります。 |
※)上記金額に実費がかかります。
当事務所にお任せいただくメリット
- 安心と安全をご提供します
法的知識と豊富な経験に基づいた、安全で信頼性の高い協議書を作成いたします。 - 時間の節約
煩雑な離婚協議書の作成を当事務所にご依頼いただくことで、お客様の貴重な時間を節約できます。 - トラブル予防
将来起こり得るトラブルを第三者からの視点で予測し、それを防ぐための条項を検討させていただきます。 - 専門的アドバイス
離婚に関する法的な疑問や離婚後の手続なども専門家の立場からアドバイスいたします。
お問い合わせ
離婚協議書の作成について、ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。経験豊富な行政書士が、お客様の状況に寄り添いながら、最適な離婚協議書や公正証書の作成をサポートいたします。
お客様の声
お客様からいただいたお声の一部はこちらをご確認ください。
離婚協議書が不履行とならない為の対策ーまとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。こちらの記事では、離婚協議書や公正証書によって定めた内容について相手方による債務不履行が起こらないための対策や、起こった後の対処について下記の内容を記載させていただきました。
- 離婚協議書の不履行を起こさせないための対策
- 離婚協議書の記載は明確に
- 署名時に内容確認をする
- 支払いの自動化
- 定期的な見直し
- 離婚協議書の不履行を防ぐには公正証書を作成しておく
- 公正証書を作成する流れ
- 公正証書を作成するメリット
- 離婚協議書と公正証書の不履行時の対策と法的手続き
- 離婚協議書の不履行時の対策
- 公正証書の不履行時の対策
- 離婚協議書が不履行とならない為の対策ーよくある質問
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