離婚に伴う住宅ローンの名義変更は、夫婦間での重要な決め事であり、適切な手続きが求められます。住宅ローンの名義変更は、単に契約者名を変更するだけでなく、金融機関との入念な打ち合わせや交渉が必要です。さらに、離婚を証明するために離婚協議書や公正証書等の書類を求められることもあるので、離婚の過程を明確に記載することが大切です。
こちらの記事では、離婚協議書に記載する住宅ローンの名義変更について、基本的な手続きや注意点を詳しく解説します。さらには、名義変更が難しい場合の代替手段や、公正証書を利用した契約のメリットについても触れ、より具体的なアドバイスをお伝えします。
離婚による住宅ローンの名義変更は可能か
離婚による住宅ローンの名義変更は原則として難しいですが、新名義人が十分な返済能力を持つ場合には可能性があります。名義変更ができない場合は、借り換えを検討することになります。借り換えでは、元々の金融機関以外の金融機関で新たに住宅ローンを組み、旧ローンを完済することで、今後の返済は新しい金融機関に対して行います。
離婚による住宅ローンの名義変更と借り換えの違い
下記では、住宅ローンの名義変更と借り換えの違いについて述べさせていただきました。これらを正しく理解することにより、離婚時に正しい選択をすることができるでしょう。
- 住宅ローンの名義変更
住宅ローンの名義変更とは、現在契約している金融機関とのローン契約者名を新しい契約者に変更する手続きです。たとえば、離婚後に住宅を引き継ぐ配偶者に名義を移すことを指します。名義変更を行うことで、金融機関を変更せずにローンの返済義務を引き継ぐことができます。通常、離婚時の名義変更では新しい名義人が金融機関に相談や申請しますが、名義変更が認められるかどうかは金融機関によって異なり、離婚などの特別な事情を考慮して認められる場合もあります。詳細については、契約している金融機関の窓口に問い合わせることをお勧めします。 - 住宅ローンの借り換え
住宅ローンの借り換えとは、現在のローンを新たなローンで一括して返済する手続きです。具体的には、新しいローンを契約し、その資金で既存のローンを完済します。その後、新たに契約したローンの条件で返済を開始します。このプロセスにより、金利の引き下げや返済条件の改善を目指します。また、名義変更が難しい場合の代替手段としても利用されることがあります。
住宅ローンの名義変更と借り換えで共通していること
どちらの手続きにおいても、新しい住宅ローンの債務者の年収やその安定性が重視されます。また、手続きの際には離婚協議書や公正証書の提示が求められることがあり、金融機関によっては記載内容に指定がある場合もあります。そのため、離婚協議書を作成する前に、金融機関との打ち合わせを行うことが重要です。
〈まとめ〉
名義変更: 既存のローンの契約者名を変更する手続きで、新名義人がローンを引き継ぎます。 借り換え: 現在のローンを新しいローンで借り換えて既存のローンを完済し、新たな条件でローンを組み直します。 |
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住宅ローンの名義変更を認めてもらうための条件
先述のとおり、離婚が原因であっても住宅ローンの名義変更を認めてもらうことはそう簡単ではありません。では、どのようにして金融機関に住宅ローンの名義変更を認めてもらうのでしょうか。その要件などを説明します。
住宅ローン契約者と新名義人の返済能力が同等または同等程度であること。
銀行は、返済能力が不十分な人に対して名義を変更したくないと考えています。返済能力が不足していると、未払いのリスクが高まり、結果として裁判などの法的手続きが必要になる可能性があります。また、裁判を通じても返済能力がない者から実際に回収するのは難しいため、銀行は名義変更を非常に慎重に審査し、厳格に行うことが多いです。
新名義人が家に住み続けること
新名義人が実際に家に住み続けることが確認されると、名義変更の審査が通りやすくなります。家に住むことで、金融機関は名義変更後もローンの返済が継続される可能性が高いと判断し、住宅の維持や返済の履行が見込まれるためです。一方、住まない場合はローン返済の安定性が不確実になり、名義変更が困難になります。また、実際には住んでいないのに住んでいると偽ると、定期的に送られる書類からそのことが発覚する可能性があるため、正直に対応しましょう。
住宅ローンの名義変更が難しい場合の代替方法
住宅ローンの名義変更は先述したとおり、簡単ではありません。そのため、名義変更ができない場合にどのような対策をするかを決めておくこともとても大切です。下記に詳細を記載します。
家の売却
住宅ローンが付いた不動産でも売却は可能ですが、アンダーローンかオーバーローンかを考慮する必要があります。オーバーローンの場合、売却後も残債があるため、夫婦が引き続き返済を続けなければなりません。一方、アンダーローンの場合、売却によって得た余剰金を夫婦で分け合うことができ、一時的な資金が必要な場合には有効です。家の売却は離婚後の生活に大きな影響を与えるため、慎重に話し合い、決断することが重要です。
借り換え
先述したとおり、借り換えとは、他の金融機関で新たに住宅ローンを組むことで、現在のローンを一括して完済し、名義を変更する手続きです。借り換えを行うことで、従来のローン契約よりも有利な条件で新たに住宅ローンを契約できる可能性があります。例えば、金利の引き下げや返済期間の見直しなど、より良い条件を得られることがあります。
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離婚協議書に記載する住宅ローンの名義変更は公正証書にしておく
住宅ローンの名義変更を記した契約を公正証書にすることには、いくつかの重要なメリットがあります。
これらのメリットを理解することで、公正証書を作成する際のモチベーションを高めることができます。
公正証書を作成するメリット
- 公正証書の高い信用性
公正証書は私文書に比べて圧倒的に高い信用性を持ちます。そのため、金融機関や裁判所などの関係者に対して、協議内容の信頼性をしっかりと証明できます。これにより、離婚協議書に記載された内容が真正であることが認められ、関連する手続きや交渉が円滑に進む可能性が高まります。 - 強制執行認諾文言の利用公正証書には強制執行認諾文言を含めることができます。この文言を加えることで、子供の養育費、慰謝料などの金銭的な支払について、未払の際に強制執行が可能になります。これにより、契約の履行が確実に行われるようになります。
- 金融機関との手続きのスムーズな進行一部の金融機関では、離婚を証明するために私文書である離婚協議書ではなく、公正証書の提示を求められることがあります。このようなケースを想定して事前に公正証書を作成する準備しておくことで、これらの金融機関との手続きをスムーズに進めることが可能になります。
公正証書は公証人手数料がかかる
公正証書を作成する際には、公証人に対して所定の公証人手数料を支払う必要があります。この手数料は、公正証書に記載される財産の価格に基づいて計算され、法令により定められた料金です。一般的に、公証人手数料は4万円から6万円ほどが相場となっており、これは財産の価値や文書の内容によって変動します。また、手続きの代行を行政書士などの専門家に依頼する場合には、これらのサービスに伴う追加の費用も考慮しなければなりません。
なお、公証人手数料について、自治体によっては一部を助成する制度がある場合もあるため、事前に役場で確認しておくことが推奨されます。
【関連記事】 >公正証書にする費用 >公正証書にする流れ |
離婚協議書に記載する住宅ローンの名義変更のサンプル(テンプレート)
下記は、テンプレートです。ご自身のケースに変更の上、ご利用下さい。なお、利用による責任は負えませんので、ご了承ください。
住宅ローン名義変更に関する契約 甲(旧名義人)は、乙(新名義人)に対して、以下に定める条件に基づき、住宅ローンや不動産の名義変更を行うことに合意する。 第〇条(住宅ローン名義変更に関する合意) 第〇条(住宅ローン名義変更手続き) 第〇条(不動産名義変更の手続き) |
離婚協議書に記載する住宅ローンの名義変更‐よくある質問と回答
1.住宅ローンの名義変更は離婚後すぐに行わなければならないのですか?
住宅ローンの名義変更は、離婚後に速やかに行うべきですが、法律で定められた期限はありません。ただし、名義変更を遅延させると、返済義務の問題が発生する可能性があるため、できるだけ早く手続きを進めることをお勧めします。
2.名義変更の手続きにはどれくらいの時間がかかりますか?
名義変更の手続きには通常数週間から1,2ヶ月程かかります。金融機関によって審査や手続きの期間が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
3.名義変更の申請をする際に必要な書類は何ですか?
名義変更には、離婚協議書又は公正証書、住宅ローンの契約書、離婚届のコピー(離婚している場合)、新名義人の収入証明書、住民票、戸籍謄本などが必要です。具体的な書類については、契約している金融機関に確認してください。
4.住宅ローンの名義変更が認められるための条件は何ですか?
住宅ローンの名義変更が認められるためには、新名義人が十分な返済能力を持つことが必要です。金融機関は新名義人の収入や信用状況を厳格に審査します。
5.名義変更が認められない場合、どのような対策がありますか?
名義変更が認められない場合、売却や借り換えを検討することができます。借り換えでは、新たにローンを組み直し、旧ローンを完済することで名義を変更することが可能です。
6.住宅ローンの名義変更に関する費用はどのくらいですか?
住宅ローンの名義変更には、金融機関に対し一定の手数料を支払う場合があります。さらに、離婚が原因で名義変更をする場合には、公正証書の提出を求められる場合があり、この場合には、公証人手数料や手続きにかかる諸費用が必要です。公証人手数料は4万円から6万円程度で、さらに行政書士に依頼する場合は追加費用がかかります。
7.名義変更を公正証書で記載するメリットは何ですか?
公正証書にすることで、文書の信用性が高まり、強制執行認諾文言を含めることで、必要に応じて強制執行が可能になります。また、名義変更の義務を詳細に記載できるため、履行がされない場合に証明が容易になります。
8.名義変更手続きの際に金融機関が要求する書類はありますか?
はい、多くの金融機関では、離婚協議書や公正証書を要求する場合があります。金融機関によっては、これらの書類に記載する内容に指定があることもあるため、事前に確認することが重要です。
9.名義変更の手続きにおいて、どのような点に注意すればよいですか?
名義変更の手続きでは、新名義人の返済能力を証明するための書類をしっかり準備し、金融機関の指示に従うことが重要です。また、離婚協議書や公正証書が正確に記載されているかも確認してください。
10.名義変更が完了するまでに、旧名義人にどのような影響がありますか?
名義変更が完了するまで、旧名義人は依然としてローンの返済義務がある可能性があります。名義変更が正式に完了するまでは、旧名義人が返済に責任を持つため、手続きの進行状況に注意する必要があります。
住宅ローンの名義変更を記載した離婚協議書や公正証書の作成代行は
現代では、ネット上に無料サンプルが溢れており、これらを使用して離婚協議書や公正証書の原稿を作成することは、コストや時間の節約になる可能性がありますが、サンプルが自分のケースに変更しなければ適切な文書として作成できないなどデメリットが存在します。特に離婚条件が複雑な場合や財産が多い場合には専門家のアドバイスを受けながら作成することをお勧めします。
当事務所では、離婚協議書の作成を専門に取り扱っており、各ご家庭の状況やニーズに応じた最適な協議書を作成するお手伝いをしております。ご不明点や下記のようなお悩みをお抱えの方は、ぜひご相談ください。
- 夫婦で協議離婚を希望している
- 財産分与の対象財産が多く複雑な場合
- 住宅ローンの名義変更を検討されている場合
- 未成年の子どもがいる場合
- 離婚後の生活や住居の決め事を明確にしたい
- 慰謝料の支払いがある場合
- 年金分割を合意している場合
- 債務の分担がある場合
- 離婚後のトラブルを防ぎたい場合
以下に、当事務所の離婚協議書作成サービスの特徴と流れをご紹介いたします。
サービスの特徴
- 豊富な経験
当事務所では、これまでに多数の離婚協議書や公正証書の作成をサポートさせていただきました。ネット上の口コミ数は150件を超えており、総合評価が4.9/5と高く評価をいただいております。そのため、当事務所によって提供させていただくサービスは自信を持っております。 - きめ細やかな対応
ご依頼者様のご状況に合わせた、離婚協議書や公正証書を作成いたします。これまでに、ネット上のサンプルやテンプレートでは対応できないような難易度の高い離婚協議書や公正証書の作成も対応させていただいた実績があります。 - 柔軟な相談や業務の対応
対面、電話、オンラインなど、お客様のご都合に合わせた相談方法をご用意しております。さらに、当事務所では離婚協議書の作成に加え、公正証書の作成も取り扱っております。公正証書の作成については、全国的に対応しています。 - 明確な料金体系
事前にお客様のご状況をヒアリングした上で、サービス内容と料金の詳細をお伝えしますので、料金体系は明瞭にさせていただいております。 - 全国対応
当事務所は大阪市に事務所がありますが、離婚協議書や公正証書の作成については、大阪府、兵庫県、奈良県を中心に全国からご依頼を承っております。これまでに、東京都や神奈川県、広島県、沖縄県など幅広くご依頼を承ってまいりました。
離婚協議書作成の流れ
- 初回相談
まずは、電話や問い合わせフォームよりご連絡ください。お客様の状況をヒアリングし、離婚協議書作成の記載内容などをお伺いし、御見積やご準備いただく書類等をお伝えいたします。 - 契約締結
上記1によってご依頼いただいた内容で契約締結をします。お支払は契約締結後5日以内とさせていただいております。 - 協議書の草案作成
離婚協議書、公正証書いずれのご依頼であっても、まずは協議書の草案をPDF等のファイルでご確認いただきます。お送りする協議書の草案をご夫婦でご確認ください。 - 協議書の修正等
作成した草案の内容について必要に応じて変更や修正をいたします。その際に、不明点や疑問点があればお気軽にお申し付けください。 - 協議書の製本と郵送
確定いただいた協議書を当事務所で製本し、郵送させていただきます。なお、公正証書とする場合には公証役場にて手続をいたします。
料金
サービス | 料金 | 概要 |
離婚協議書の作成と製本 | 40,000円 | 離婚協議書を作成し、製本までを対応させていただきます。 |
離婚公正証書の作成サポート | 60,000円~ | 離婚公正証書の作成をサポートさせていただきます。代理調印が必要かなのかどうかで費用が異なります。 |
※)上記金額に実費がかかります。
当事務所にお任せいただくメリット
- 安心と安全をご提供します
法的知識と豊富な経験に基づいた、安全で信頼性の高い協議書を作成いたします。 - 時間の節約
煩雑な離婚協議書の作成を当事務所にご依頼いただくことで、お客様の貴重な時間を節約できます。 - トラブル予防
将来起こり得るトラブルを第三者からの視点で予測し、それを防ぐための条項を検討させていただきます。 - 専門的アドバイス
離婚に関する法的な疑問や離婚後の手続なども専門家の立場からアドバイスいたします。
お問い合わせ
離婚協議書の作成について、ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。経験豊富な行政書士が、お客様の状況に寄り添いながら、最適な離婚協議書や公正証書の作成をサポートいたします。
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離婚協議書に記載する住宅ローンの名義変更‐まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。こちらの記事では、離婚協議書に記載する住宅ローンの名義変更について、基本的な手続きや注意点、さらには、名義変更が難しい場合の代替手段や、公正証書を利用した契約のメリットについて述べさせていただきました。下記に本記事を簡潔にまとめたものを記載します。
1.住宅ローン名義変更の可能性
離婚による住宅ローンの名義変更は可能ですが、新名義人に十分な返済能力が必要です。名義変更が難しい場合は、ローンの借り換えを検討するのが一般的です。
2.名義変更と借り換えの違い
- 名義変更: 既存の金融機関で契約者名を変更する手続きです。新名義人が金融機関に相談し、名義変更が認められるかどうかは金融機関によります。
- 借り換え: 現在のローンを新たなローンで完済し、別の金融機関で新たに契約する手続きです。名義変更が難しい場合の代替手段として利用されます。
3.名義変更を認めてもらう条件
- 返済能力: 新名義人が十分な返済能力を持っていること。
- 居住: 新名義人が実際に住宅に住み続けることが確認されること。
4.名義変更が難しい場合の代替方法
- 家の売却: オーバーローンの場合、売却後の残債に注意。アンダーローンの場合は余剰金を分け合うことが可能です。
- 借り換え: 他の金融機関で新たなローンを組み、既存のローンを完済します。
5.公正証書の利用
- 高い信用性: 公正証書は私文書よりも高い信用性があり、金融機関や裁判所での信頼性が高まります。
- 強制執行認諾文言: 公正証書により、支払い義務を強制執行することが可能です。
- 手続きのスムーズな進行: 一部金融機関では、公正証書の提示を求められることがあります。
⑴公正証書の費用
公正証書作成には、4万〜6万円の公証人手数料がかかります。行政書士などの専門家に依頼する場合は追加費用が発生することがあります。
6.サンプル(テンプレート)とよくある質問
上記トピックをご確認ください。
【参考】 >住宅ローン利用者の現状と問題点 >法務省 離婚を考えている方へ >法務省 離婚を考えている方へ~離婚をするときに考えておくべきこと~ >日本公証人連合会 公証事務 離婚 >民法 – e-Gov法令検索 |
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